ものづくりの匠の技

中国盛和塾 曹氏引率3日間⑥

傳來工房

創業1200年 弘法大師が遣唐使でつれてきた鋳造技術の匠が創業した企業。以来これまで一番弟子が後を継ぐといった、京都では特異な老舗企業。鋳造技術を活かし、エクステリアの製造を行っている。最近では100年続く木造建築にも進出している。

現当主の橋本氏は祖父、父と血縁で継承してきた。一時は建築ブームで多くの需要があり、事業は大きく拡大したが、このデフレ30年の初期、西暦2000年前後の頃はかなり厳しい状況であった。そこで現当主は経営の基本は環境整備からと学び、自ら一人でトイレ掃除を始めた。最初は完全防備で柄の長いたわしで恐る恐る磨いていた。これまで人生でやったことのないことであったからだ。しかし1ヵ月3か月半年と続けるうちに、なんと素手で便器を磨くまでとなった。その時のことを現当主はこう語る。「トイレ掃除は自分の心を磨いているのだ」と。

1年がたち社員の中に手伝うものが出てきた。そして会社全体の取り国となった。今でも新人教育の一環でトイレ掃除は行われており、会社全体の掃除は朝30分かけて社長はじめ役員、社員全員で取り組んでいる。そこから環境整備の取組は物の配置(3定)、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)、無理、無駄、無理の撤廃などに発展し、全社員あげて提案活動を行い、優秀者には表彰をしている。

これらの活動は10年以上続き、その活動を見てみたいと全国から会社見学に訪れるようになった。それは自社にとっても素晴らしい効果を得ることとなった。

営業所、工場が全てショールームとなり、社員は全員営業マンとなった。見学者の方々も有能なインフルエンサーとして営業マンになっていただいた。こんなに環境整備が行き届いた会社が作る製品に間違いはないと。

現在はあまりの見学者の多さに、見学回数を制限し、得意先企業と一部のコンサルティング会社の紹介だけとされているが、その特定のコンサルティング会社に弊社が認定されているため、見学が可能となっている。

今回の見学も皆様一様に感動を覚えたとアンケートの記載されていた。日本の環境整備の究極が見られる老舗である。

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