ものづくりの匠の技

中村ローソク 訪問レポート

中村ローソク

今や京都で和ろうそくをメインで製造販売しているお店は、この店だけといっても過言ではない。日本中の有名な寺院に卸している。

ご当主の田川社長は創業家の方ではなく、他家から婿として来られた。もともとは自動車のディーラーで優秀な成績を残されていた。創業家の奥様と結婚を機にこの業界に入り、和ろうそく作りの修行をされた。今や匠と言われるほどの職人となった。息子が後継者として育ち、今後も安泰である。

現在彼が取り組んでいることに、社会貢献がある。和ろうそくの需要が激減している中で、和ろうそくは文化財を守り、100年後の世界でもその美しさが保たれるという。そのためには和ろうそくの原料である、はぜの木を育てなければならない。その木は良質なものは和歌山県の一部にしかなく、その木は接ぎ木の技術が必要で、その技術者も減っている。

そこで京都市内の北山杉の産地に、こちらも需要が減っている杉の木の代わりに植林をして、育てる計画を京都市と共に立ち上げている。はぜの木から取れる蝋は高級化粧品メーカーのハンドクリームにも使われる原料ともなり、自社でハンドクリームを「和ろうそく職人からの贈り物」として開発し、販売している。

また伝統産業の衰退を防ごうということで、行政との連携で、様々な職人と一緒にイベントを企画し実行している。元々の優秀営業マンの力が伝統産業を支える活動に活かされている。そのことを参加者の方々は感じ取っていただいていたようだ。

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